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WPMとは?英語の読解スピードの指標‐測り方や数値を上げる方法


自身で英語を読むのが遅いと感じている人は、どれくらい遅いのか測定したことはあるでしょうか。読解スピードにはWPMという指標があり、家でも簡単に計測することができます。この記事では、WPMの正しい測り方と注意点を紹介し、速読の目安となる数値目標や目標達成に向けた正しいトレーニング方法をお届けします。  

 WPMとは

WPMとは“Words Per Minute”の頭文字をとったもので、1分間当たりに読める単語数のことです。英語を読む速さの指標として、東京都教育委員会が平成28年3月に作成した「中学校英語科教師のための指導資料」でも触れられているくらい、一般的なものです。   なお、英語ネイティブの平均が200~250WPMであるのに対し、日本人の平均WPMは80~100前後。日本人の英語読解スピードはネイティブの約3分の1程度です。   「ネイティブより遅いのは当たり前」と思うかもしれませんが、トレーニングを繰り返し行うことで、日本人でも、ネイティブが目標とする500WPM以上の実現は可能です。さらに上をいく1,000WPMも不可能ではありません。   WPMの数値目標を立てる前に、まずは現時点のWPMを測ってみましょう。  

 WPMの測定方法

WPMを測定するために使う決まった教材は特にありません。計測したいと思う本や教材を使用するといいでしょう。例えば、TOEICのリーディングPart 7の長文読解の速さを把握したい場合は、そのPart 7の長文で測りましょう。   紙の本とデジタル文書では測定法が少し異なります。それぞれのケースに分けて見ていきます。

<紙の本>

1. 読む本のなかから平均的・代表的な単語密度の段落を選び、そこの単語数を数える 2. 1 で数えた単語数÷段落内の行数がWPL(Words Per Line:1行あたりの平均単語数)となる 3. 2で算出したWPL×1分間に読んだ行数がWPMとなる

例えば、1で選んだ段落内の単語数が60、その段落の行数が5行とすると、WPLは12です。1分間で読んだ行数が7行だとすると、12×7=84で、WPMは84となります。  

<デジタル文書>

Microsoft Wordの文字カウント機能やウェブ上のWord Counterなどで英語の文章の単語数をあらかじめ計測できます。その文章を何秒で読んだかを計測すれば、「単語数÷秒数×60秒」でWPMが求められます。

例えば、270単語の文章を3分かけて読んだ場合、270÷180×60=90となり、WPMは90です。   なお、順序を逆にする方法もあります。1分間に読んだ部分をMicrosoft Wordの文字カウント機能で数えるか、ウェブ上のWord Counterにコピー&ペーストして数えれば、その単語数がWPMの数値となります。  

WPM測定時の注意点

  WPMの測定法が分かったところで、いくつか考慮しておくべき点を紹介します。   同じ文章であっても、以下に挙げるような要因が測定結果に影響します。単にWPMの数値を見て一喜一憂するのではなく、そのWPMになった要因や背景を正しく把握することが、次の段階へ進むヒントとなります。

  • 関連分野の知識
  • 英語の難易度だけでなく、書かれている内容に関する事前知識や経験、習熟度などにより理解度は異なります。
  • 文章形態
  • 内容が同じ文章であっても、文字の大きさやフォント、単語の密度、文章の幅などの文章形態によって捉え方が変わるため、測定結果に影響します。
  • 老眼の有無
  • 老眼の人は小さな文字が苦手です。その場合は、紙の本よりもパソコンを使用して文字を大きくすると読みやすいでしょう。自分に合った文字の大きさにすることで、WPMを上げられます。
  • 左右の視野
  • 左右の視野が狭い人はパソコンの横幅の長い文章を読むのが苦手です。同じ文章でもスマートフォン画面のように横幅が狭いほうが読みやすく、WPMも上昇する傾向にあります。また、左右の視野を広げて俯瞰(ふかん)しながら行う「チャンキングトレーニング」により、WPMが上昇することも期待できます。

 

 WPMの目指すべき数値は

  速読の力はトレーニングにより高められますが、WPMはただ高い数値を目指せばよいというものではありません。   トレーニング前のWPMが日本人平均の80~100で、150まで上がれば十分という人もいれば、仕事や留学で勉強の効率を上げ、その価値を高めるために1,000以上を目指したいという人もいるでしょう。   人それぞれに目的が異なるため、自分のなりたい姿を念頭に置き、目指す数値を設定することが大切です。  

ネイティブも目指すWPM500以上が一つの目安となる

  Max Readingでは経験上、ネイティブ平均200~250WPMの倍の速さである、500WPM以上を目標とすることをおすすめしています。   これはネイティブが目指すスピードと同じであり、1時間×十数回の専門的なトレーニングを継続した受講生の8割以上が到達している現実的な数値でもあります。500WPMは、1行8~10単語程度の本を1秒で1行読み、概要を理解するSkimming(概要理解)の読み方をする際の目安です。   500WPMでSkimmingができるようになれば、300WPM程度が遅く感じられて、精読レベルで理解できるようになるでしょう。また、より速く読むトレーニングを積んでいけばいくほど、目と脳が慣れて精読や熟読のスピードも上がります。その結果、限られた時間のなかでの読み方のバリエーションが増えていくのです。   速読力の基本を身に付けることで、速読や精読などの、目的に応じたスピード調節が可能となり、仕事や勉強、留学、読書などに実践して活用できます。  

読む目的やスタンスによりWPMは異なる

目指すべきWPMは、読む人の能力やスキルの問題に加えて、読むスタンスによっても変わってきます。Skimmingを重視する速読と、重要部分の確認理解に重点を置く精読では、理想的なWPMは異なるのです。以下に例を挙げながら説明します。


  <目的によるWPMの違いの例>

  1. バックグラウンドのあるビジネスに関する文章
  2. 500WPM程度のトレーニングを積んだ人は、1回目に400~500WPMでSkimmingができ、2回目に300~400WPMで重要部分の確認理解をしながらしっかり読むということができます。理解度が高まり、より深く記憶に残すという目的に合った読み方が可能です。
  3. TOEICのリーディングパート
  4. TOEICのPart 7のような長文を読む際の目的は、全体を細部まで理解することではなく、設問の正解を効率良く見つけることでしょう。 この場合、正解を見つけるという目的のためには、無理に500WPM以上の速さで読む必要はありません。まず設問を先読みし、200~300WPM程度でゆっくり精度高めに読み、SkimmingとScanning(設問の答えやヒントを探す読み方)で効率的に解答することもできるのです。この程度の速さでも十分に時間があるため余裕を持って解答でき、その結果、正答率も上がりやすくなります。

なお、時間制限のあるテストでは、無理に速く読もうとして焦ってしまい、速読力を発揮できずに理解度が落ちて、正しい解答を見つけられない恐れもあります。解答テクニックを強化した人であれば、160~200WPM程度でもギリギリ間に合う可能性もあるので、速読スキルにこだわりすぎず、自分に合った戦略で解くとよいでしょう。


  <読むスタンスによるWPMの違いの例>

速く読んでサッと情報を得られる新聞や雑誌などの読み物とは対照的に、感情移入しながら意図的にじっくり読み進めたい場合もあるでしょう。
  1. 新聞や雑誌
  2. 500WPM程度のトレーニングを積んだ人の場合、400~500WPMで必要な情報を得るためのSkimmingができるようになります。
  3. 小説
  4. 500WPM程度のトレーニングを積んだ人であれば、世界観に浸りながら熟読を楽しむ目安速度は200~300WPM 程度です。
  5. 基礎知識のない分野に関する難解な文章
  6. 150~250WPM 程度の時間をかけて精読や熟読する必要も出てきますが、その際に速読スキルが役に立ちます。一字一句を理解しようとして全体が見えなくなる「木を見て森を見ず」ではなく、速読の基本は「森を俯瞰しながら重要な木を押さえていく」読み方です。心に余裕を持って読んでいくと、要点を押さえやすくなります。また、1回目はSkimmingのみ、2回目以降はSkimming+それに紐付く重要点の確認というように、2~3回読み直すことを前提にしたほうが、効率的に読める場合もあります。

  以上のように、適切なWPMは読む人の能力やスキルだけでなく、読む対象物や目的によっても異なります。何でも速く読めればいいのではなく、WPMをコントロールできる力が、本来の「速読(Speed Reading)力」なのです。  

 

 WPMを向上させる方法は

WPMは、適切なトレーニングを積むことによって高められます。速読の効果的なトレーニングを専門とするMax Readingを例として紹介しましょう。

WPMを高めるトレーニング法―Max Reading

  WPMを向上させるには、新たな目と脳の使い方を覚え、慣れていく体感型トレーニングが有効です。具体的には、「目で広く捉える」×「脳でイメージとして理解する」の訓練を繰り返し行う必要があります。   まずは、目線移動に着目しましょう。左から右へ目線を一語一句動かして見ていくやり方では、脳への情報伝達も一字一句となるため、何も解決しません。   周辺視野も含めて「俯瞰」しながら「目で広く捉え」、効率的かつスムーズに目線移動をしていくことが大切です。目線移動ができるようになったら、リラックスや無意識などのトレーニングを積み重ねることで、脳でのイメージ化が進んでいきます。   なお、速読トレーニングの方法については、「英語速読力を高める効果的なトレーニング法―読まずにイメージで捉えるには?」で、より詳しく紹介しています。  

 

トレーニングの効果

  広く俯瞰して読むことに慣れたら、知らない単語が仮に1割あっても「9割も知っている」と思えるようになります。知らない単語を気にすることなく、全体のイメージから意味を吸収でき、楽に読めるようになるのです。   個人差はあるものの、コツをつかんで慣れていくことで、誰でもある程度速く読めるようになります。   Max Readingの受講生では8割以上の人が500WPM 以上を実現しています。約2割の人は、1,000WPM 以上のSkimmingができ、500~600WPM 程度の精読が楽と感じられるようになっています。   Max Readingでは、体験セミナーを実施中です。2時間~2時間半のセミナーで、専門家に教材選びからアドバイスを受けられ、実際にトレーニングを体験していただけます。セミナー前後にWPMを計測するため、成果も実感できます。オンラインセミナーもあり、全国および海外からでも受講が可能です。   詳細は体験セミナーのページからご覧ください。  

 

 WPMは毎回測って成果を確認し、トレーニングを続けよう

英語をもっと速く読めるようになりたいと思っている人は、まずWPMを測定して現在のレベルを知り、目標を明確にしてから速読トレーニングを始めることが大切です。また、1回ずつのトレーニング開始前と終了後にもWPMを測り、日々の成果を感じとることも重要です。継続へのモチベーションにもつながることが期待できます。  

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