「速読」ができると、仕事や勉強の効率が向上する、趣味の読書を短時間で楽しめるなど、多くのメリットがあります。一方で、速読には意味がない、効果がないなどのネガティブな情報も見られます。実際はどうなのでしょうか?
ここでは、そもそも速読とはどういったものなのか、どのようなメリットがあるのか、どうトレーニングすればいいのかを紹介します。また、英語速読と日本語速読の違いもお伝えします。
速読に興味がある人だけでなく、効果的な英語学習法を模索している人も、ぜひ読んでみてください。
速読とは?
はじめに、速読とは何かについて基本的な定義を見ていきましょう。
そもそも速読とはどういうことか
速読とは文字通り、文章を速く読むことです。
速読において「読む」という動作は、「目で見る」×「脳でイメージ理解する」の掛け算です。その両方が速くなくては期待する効果が得られず、一方のみ速くても遅い方がボトルネックとなります。
速読における「目で見る」を速くするとは、目線を速く動かすことではありません。それでは、すぐに動体視力の限界がきて目で捉えれず、かえって焦りにもつながります。
速読における「目で見る」とは「目で広く捉える」ことです。俯瞰(ふかん)することで文全体を広く捉えられ、一度に捉えられる意味の「チャンク(意味の塊)」の量を増やすことが可能になります。
目で広く捉えられるようになると、目線移動距離が短くなり、効率的にかつ速く、楽に理解できるようになります。理解が楽になると、心に余裕ができ、リラックスして読めるようになります。
そして、リラックスして読めると、より速く理解ができるようになるというプラスの連鎖が起こるのです。
読むことが遅い人の特徴
読むことが遅い人は、遅くなるような読み方の意識や癖を持っています。「一語一句ごとに一生懸命見よう」として、顔も一緒に動かす人もいます。それでは目線移動に大きく時間がかかるうえ、一語一句を積み上げて理解しようとするため、文や文脈の理解に時間がかかるのです。また、知らない言葉があればそこで止まり、返り読みをするため、さらに時間がかかってしまいます。
読むことが遅い人の特徴として、他に以下の癖があげられます。
- 目が泳いでしまう、また目だけが上滑りして飛んでしまう
- 頭のなかや実際に口を動かして音読する、音にしないと理解しにくい
- 一語一句漏らさず読まないと理解できないという意識を持っており、文全体として結局何が言いたいのかが理解できない。「木を見て森を見ず」の状態になる
次の3つは特に英語の場合に見られる傾向です。
- 単語の意味を組み合わせたり、文法に当てはめたりして文の意味を理解する
- 和訳しないと理解しにくい
- これらの単語や分かりにくい部分があると止まる、または返り読みする
これらの癖を改善し、「目で見る(広く捉える)」×「脳でイメージ理解する」という、目と脳の新たな使い方を覚えて慣れるようにすることが、適切な速読トレーニングです。
速読で理解をするということ
前述のとおり、速読とは「目で見る(広く捉える)」×「脳でイメージ理解する」であり、目で広く捉えることが速くできれば、脳でイメージ理解することも速くなります。
ここでの脳は、いわゆる右脳を指します。
イメージ理解は、ImaginationとAssociationから成り立ちます。
Imaginationとは、自分の経験や知識と自然に結び付いて、それを瞬間的にイメージで思い出すことです。
Associationとは、似たような経験を相互に関連付けることです。
イメージ理解をしやすくするために、脳のスポーツ的なトレーニングを行うことで、個人差はあるものの、誰でもある程度速読ができるようになります。
速読のメリット
速読のメリットは、速く読んで速く理解できるため、仕事や勉強、学び、情報収集、読書などのスピードアップと効率化が図れることです。読む能力が上がることでリスニング力とアウトプットの質が上がり、その結果会話力が向上して、語学力の向上につながります。また、速読によるイメージ理解や繰り返しによる記憶の定着が効率的になり、記憶力も上がります。
速読は、速く読むため理解度が下がると思うかもしれませんが、そんなことはありません。すべてを正確に読まなくてはいけないという意識と、実際の速読の読み方が合致していないため、理解度が下がると感じてしまうだけなのです。
速読を意味する“Speed Reading”は、単に「速く読む」という意味の“Rapid Reading”とは厳密には異なります。
ここでいう速読とは、読む対象や目的に応じ、「柔軟に速さをコントロールして効率的に読む」といったニュアンスを含むSpeed Readingです。
“Speed Reading”の真のメリットは、読む対象や目的に応じた効率的な読み方ができることです。一言で「読む」といっても、精読や熟読、スキミング(Skimming:概要把握)やスキャニング(Scanning:特定の欲しい情報を探す/得る)など、いろいろな読み方があります。
目と脳を慣らす速読トレーニングをすることで、精読や熟読も含めいろいろな読み方で、より速く読めるようになるのです。
英語速読と日本語速読の共通点と違い
速読の基本を理解したところで、「英語速読」と「日本語速読」について考えていきましょう。速読のメカニズムは英語も日本語も同じで、「目で広く捉える」×「脳でイメージ理解する」です。
英語速読と日本語速読の違いは、言語における速読のしやすさ・しにくさにあります。
漢字は表意文字です。ひらがなのなかの漢字は目で捉えやすく、漢字を中心とした意味のチャンクを自然に見つけやすくイメージしやすい特徴があります。なにより日本人にとっては、母国語で苦手意識も少ないため、速読しやすい言語といえるでしょう。
一方、英語のアルファベットは表音文字であり、その羅列は日本語のように容易にイメージすることができません。日本人にとっては外国語で苦手意識があり、文法に当てはめて理解しようとします。理解するのに和訳しようとする癖のある人も多く、英語は速読しにくい言語といえるでしょう。
日本語と英語の速読のメカニズムは同じです。しかし、日本語の速読ができるようになっても、速読しにくい言語の英語の速読までできるようになりません。ところが、その逆は可能です。英語の速読ができるようになれば、速読しやすい日本語は楽に速く読めるようになるのです。
そのため、英語・日本語にかかわらず「速読」を身に付けたい人で、かつ英語力も高めたいと思っている人にとっては、「英語の速読」から身に付けるのは得策といえます。
なお、日本人が日本語を読む速度は平均分速600文字前後です。一方で、ネイティブスピーカーが英語を読む速度は、平均WPM(Words Per Minute)で200~250単語とされています。
Max Reading(英語脳トレジム/英語速読)では、適切な速読のトレーニングを英文で行います。ネイティブスピーカーではなくても、各自に合った英語であれば、全生徒の8割以上がWPM=500単語以上、約2割がWPM=1,000単語以上で読めるようになっています。前述したように、英文の速読力が向上すると、日本語を読むスピードも自然に速くなります。多くの人が分速2,500~5,000文字以上で読めるようになっています。
WPMについて詳しくは、「WPMとは?英語の読解スピードの指標‐測り方や数値を上げる方法」をご覧ください。
速読において必要なもの
速読、つまり「目で広く捉える」×「脳でイメージ理解する」に必要なのは、「俯瞰」「リラックス」と「無意識」です。
「しっかりと理解しなければ」「速く読まなければ」と意識しすぎると、視野が狭くなったり力が入りやすくなったりしてしまいます。
そうなると、狭いチャンク部分や力んだ部分に視野や意識が集中し、「木を見て森を見ず」状態になり、かえって理解度は下がります。まずは、周辺視野や空間を広く感じながら俯瞰し、「しっかりと読まなければ」という意識から自分を解放しなくてはいけません。
目の前の本を何気なく(無意識的に)リラックスして俯瞰すると、自然に広い意味のチャンクを捉えられ、その内容のイメージが感覚的に湧いてくることがあります。
集中力とは「力を入れて狭い部分に集中する」ことではなく、「力を抜いて、楽に目の前の対象と無になって向き合える」ことなのです。
これはスポーツや心理学でいう「ゾーン」や「フロー」に近い状態や、深呼吸や瞑想をして脳や心が落ち着いている状態です。野球でいう投手や、フィギュアスケート選手などが力むと失敗し、適度にリラックスした状態で良い結果が出せることと同じ原理です。心理療法やストレス低減法などで日本でも知られるようになってきた、マインドフルネスによる「今、この瞬間に集中している状態」も、同じ状態といえます。
本物の速読を理解し、適切なトレーニングで身に付けよう
速読の習得は、以上のような多くのメリットがあります。適切なトレーニングにより、本物の速読法を身につけましょう。
なお、速読を習得するには、「やり方」だけでなく「在り方」も重要です。
Max Reading(英語脳トレジム/英語速読)では、究極の英語速読法を習得するため、周辺視野を含めて広く眺めるトレーニングであるチャンキング、呼吸法、目や体のストレッチなどを実施します。
英語速読のコツについてさらに詳しく知りたい方は、以下のページもご参照ください。
英語速読のコツと本質について|Max Reading
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