速読トレーニングでまず大切なのは、自分の読む速さを知ることです。読解スピードは指標によって数字で表すことができ、速読トレーニングの前後に計測することで、成果を実感できるようになります。ここでは、読む速さを知る指標と目安のスピードについて解説し、速読力を高める効果的なトレーニング方法を紹介します 。
英語力向上における速読の重要性
単語や文法、リスニング、会話など数々の英語勉強法がありますが、英語速読力を身に付けられれば、英語力全体の向上につながります。
英語力向上に必要なものは?
英語力を向上させるには、インプットとアウトプットの両方を行う必要があります。「読む、聞く、理解する」というインプットと、「書く、話す、発信する」というアウトプットを繰り返していく相乗効果で英語力は向上していくのです。
アメリカの言語学者クラッシェンが唱えた「第二言語習得理論」では、ベースとなるインプットの量や質が重要だとされています。正しく多くのインプットを行って自分の引き出しを増やすことが、アウトプットにもつながるという理論です。
インプットの効率や効果を上げるのが速読
クラッシェンの理論に基づき、良質なインプットを効率よく繰り返す手段として挙げられるのが「速読」です。速読には、次のようなメリットがあります。
- たくさんの量を速くインプットでき、効率がよい
- 「読む」というよりも、イメージをつかむことで楽に理解できるようになり、効果が得られやすい
- イメージと結び付けて表現や語彙(ごい)を覚えていくので実践に直結する
- イメージの定着=記憶と考えられており、速読では大量のイメージによるインプットや繰り返しにより、記憶力の向上が期待できる
英語速読のスピードの目安
では、どの程度の速さで読めば速読といえるのでしょうか。英語を読む速さを測るために一般的に使われるのが、WPMと呼ばれる指標です。
WPMとは
WPMとはWords Per Minuteの頭文字をとった言葉で、1分間当たりに読める単語数のことです。例えばネイティブスピーカーの英語のWPMは平均200~250で、日本人の場合、英語の平均WPMは80~100程度です。日本人は英文を読むのに、ネイティブの約3倍の時間をかけていることになります。
しかし、正しいトレーニングを重ねれば、ネイティブの平均WPMの倍の速さ(500WPM )で読むことも不可能ではありません。
WPMの測定は家庭でも可能です。正しいトレーニングを積むためにも、まずは現在のWPMを知ることが大切です。
WPMの詳細やその測定方法については、「WPMとは?英語の読解スピードの指標‐測り方や数値を上げる方法」をご覧ください。
速読トレーニングで目指したいWPMの数値
Max Readingのトレーニングでは、500WPM 以上でのSkimming(概要理解)をひとつの目安としています。1時間×10数回の専門的なトレーニングを継続することで、受講生の8割以上がこれを実現しています。
ただし、目指すべきWPMの数値は、仕事や留学、勉強、趣味などそれぞれの目的によって変わるでしょう。また、読む対象の英語の難易度やその分野の経験度・習熟度などによって測定値は異なります。その日の体調や目の調子、文書の形態なども測定値に影響を与えます。
それらを念頭に置き、数値だけを過度に意識しないことも大切です。
読む目的によって適切なWPMを使い分けるのが速読力
速読力とはただ速く読むだけではなく、読むスタンスに合わせた効率的な読み方ができるようになることです。500WPM でSkimmingができれば、300WPM 程度で精読レベルの理解で読めるようになり、目的に応じて読む速度の使い分けができるようになります。
速読の基礎をしっかりと身に付けることで、速いスピードで読んで概要を理解したり、スピードを少し落として精読したりすることが可能となるのです。
例えば、TOEICのリーディングにおけるPart 7の長文読解の目的は、じっくり詳細まで長文を理解することでも速く長文を読み切ることでもなく、時間内に設問の正答を選ぶことでしょう。また、ざっくりした情報を仕入れたい新聞のニュース欄と、じっくり読んで世界観に浸りたい小説では、読むスタンスが異なるものです。つまり、何でもとにかく「速く読めればいい」ではなく、目的に合わせて読むスピードをコントロールできる力が、本来の「速読力」なのです。
英語速読の効果的なトレーニング方法
速読を身に付けるためには、「目で広く捉える」×「脳でイメージとして理解する」の訓練を繰り返して新たな目と脳の使い方を覚え、慣れていく体感型トレーニングが有効です。詳しく見てみましょう。
悪い癖を取り除き、感覚的に慣れる
基本的にはスポーツやダンス、楽器の演奏、自動車運転などの練習と同じで、一つひとつの動きを意識せず、体に覚え込ませていく感覚が大事です。
ただし、悪い癖を直さずに技術を重ねても軟弱な基礎となってしまうため、まずは次のような癖をなくすことが大切になります。
- 一字一句をしっかりと読む
- 目が泳いでしまう、もしくは目だけが上滑りしてしまい、内容が頭に残らない
- 単語の組み合わせや文法を意識しながら、文の意味を理解しようとする
- 和訳して日本語に置き換えて理解する、和訳しないと理解しにくい
- 音にしないと理解できず、頭の中や実際に口を動かして音読する
- 知らない単語や分からない部分があると止まる、または返り読みする
- しっかり読まないと理解できないという意識を持っている
文章を俯瞰して目で広く捉えながら、目線を移動させる
さて、実際に英文を前にして速読トレーニングを始める際に、もっとも重要なのが目線の移動方法です。
左右に目線を動かして一語一句見ていくやり方では、それに応じた脳への情報伝達となり、一字一句を理解しようとするため速読はできません。周辺視野も含めて「俯瞰(ふかん)」しながら、「目で広く捉える」ことを意識し、効率的かつスムーズに目線を移動させていくことが速読につながります。
広く捉えられるようになれば、目線移動の距離が減り、効率的かつスムーズになっていきます。文中の大きな意味の塊(かたまり)のことを「チャンク」といいますが、1秒間に1/3行から1/2行、1行から2行…と本人に合った見幅で順に広く見るトレーニングをすることで、より広い意味のチャンクで理解することができるのです。
広く俯瞰して読むことに慣れれば、知らない単語が1割あっても、9割も知っていると思えるようになります。知らない単語が気にならなくなり、全体のイメージのなかで意味を吸収して楽に読めるようになるのです。
リラックスした状態で自然体を心がけ、脳でイメージ理解する
とにかく速く読もうとして焦ったり、力が入りすぎたりするのは好ましくありません。
全身・目・心・脳がリラックスした状態で、広く俯瞰してスムーズに目線移動します。無意識(無心)にチャンクを目で捉え、チャンクごとに楽にイメージしながら文意やシーン、文脈を捉えていくのです。
慣れてくると、目線移動が速すぎて怖くなり、ブレーキをかけてしまう人もいますが、リラックスや無意識などのトレーニングを重ねることで、自分の感覚に従ったスピード感で読めるようになります。
英語速読のコツを身に付けるトレーニングについては、英語速読のコツと本質のページでも詳しく紹介しています。
心に余裕を持ってトレーニングを継続する
速読トレーニングとは、目線移動の感覚をつかむ実践だけでなく、イメージで捉えるためにリラックスするという、メンタル面の訓練によって成り立ちます。より速い速読トレーニングをすればするほど、目と脳が慣れて精読や熟読のスピードも上がり、限られた時間内での読み方のバリエーションが増えます。仕事や留学、勉強、読書などにも活用できるようになるでしょう。
個人差はあるものの、本人の成長度合いや読み方の癖に応じた、段階的かつ専門的な1時間のトレーニングを十数回継続すればコツをつかめ、誰でもある程度は速読ができるようになります。
Max Readingの受講生では、8割以上の人が500WPM 以上を実現しています。約2割の人が1,000WPM 以上でSkimmingができるようになっており、500~600WPM 程度の精読が楽に感じるようにもなっています。なかには、 WPM=2,900まで上がった受講生もいます。(詳細はこちらをご覧ください)
受講生の声にもさまざまな体験談が寄せられていますので、ぜひご覧ください。
WPMの目標を掲げて英語速読トレーニングを実践してみよう
速読トレーニングに興味のある人は、まずはWPMを測り、現在の力を数値化してみましょう。その後、自分のなりたい姿や読み方に応じたWPMの目途を定めたうえで、「目で広く捉えながら脳でイメージとして理解する」感覚で文章を読む練習をします。何度も繰り返して、コツをつかんでいくことが重要です。
ただし、本人の読み方の癖や英語力などに合っていない間違った方法でトレーニングを続けていると、決して上達はしません。
Max Readingの体験セミナーでは、効率よく一通りの方法を実践し、正しく基礎的なトレーニング法を楽しく学べます。また、セミナー前後にWPMを計測することで、その日の成果も確認できます。オンラインでの参加も可能ですので、ぜひお気軽にご参加ください。
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